有言実行は好きじゃない

バスケットボール

ついに2025年になった。実感はまるでない。さっき事務書類に、ついつい2024と書いてしまったばかりだ。

大晦日、元旦はいつもと全く同じように過ごした。お昼近くまで家の家事などをして、シャワーを浴びて仕事に出かける。

カフェで1-2時間仕事をして、その後に職場であるナショナルトレーニングセンターへ。誰もいないオフィスでひたすらビデオと格闘し、23時が近づくとアスリートビレッジのお風呂、“勝ちの湯”で身体と頭を整わせてから帰宅する。

準備の連続2024

2024年はいろいろなことがあった。

パリ五輪に行ったことばかりが記憶されているかもしれないけど、他にもいろんなことにチャレンジした。

まず、沖縄で経営者の方々を対象にした講演会をする機会があった。バスケットボールの話をせずに、人に何かを伝えるチャンスをもらって、自分の人生を見つめ直すきっかけになった。それと同時に“自分のキャリアパスそのものには再現性がないけど、マインドセットには再現性はある”と出会った方に気付かせてもらった。自分の新しい価値を発見できた気がした。

函館、長崎、大阪、神奈川、いろいろな場所に行った。バスケットのクリニック、講習会、小学校での夢授業、JBAのイベントであるコーチカンファレンス、コーチライセンスの講習会、自分で企画しているテクニカルハウスのウェビナーを2回。U14ナショナルDCでは、久しぶりにメインコーチとして女子を指導させてもらい、年末にはJリーグクラブのアナリスト勉強会で講演をさせてもらったりした。

正直、僕は自分にすごく自信を持っているタイプの人間ではない。いつも始まる前は不安でいっぱいだ。終わった後ですら「もっと上手くやれたのではないか?」と、だらだらと考え続けてしまうからタチが悪い。

だからこそ、準備にめちゃくちゃ時間をかける。準備に時間をかけないと不安だからだ。話を聞く人に「こいつ準備が足りないな」って思われたくないし、なにより自分自身が「準備が足りなかった」と思いたくないのだ。

そして、準備中はどんどん脱線する。試合を見たりクリップを作ったりしていると、別の何かが気になって調べ出したり、昔同じようなプレイを見た気がすることが気になって、20年前の試合を見始めたり。全くもって効率が悪い。

だけど、そんな時間が嫌いじゃない自分もいるからますます救えない。

追われ続ける快楽

そんなやり方をするから、どれくらいの期間で終わらせられるかが、ボンヤリとしか分からない。「終わる時に終わる」、それしか自分の中には答えがないのだ。

だから、「今日は疲れているから、休日にしようかな」と、決めることもできない。それは、「終わらないかもしれない」という恐怖と戦うことを意味しているからだ。だから、試合を見に行くと決めた日も、飲み会がある日も、必ずパソコンだけは持って出掛けてしまう。

「全部終わったら数日ゆっくり休もう」

それだけを夢見ながら、結局1年が終わってしまった。

英語にOverwhelm(圧倒されるとかそんな感じの意味)という言葉があるけど、たぶんそんな感じ。迫り来る仕事(締め切り)に、常にOverwhelmされながら生きているなと感じる。当たり前だけどOverwhelmedは心地良いものでもなんでもないし、それはストレスとも言えるのだろう。

だけど一方で、その状況は僕をやる気にさせる。「この難局を乗り越えられたら、新しい景色が見えるはず」という根拠のない希望。それよりなによりも、「やりきった」という満足感が欲しいのだ。

そして、ゆっくり眠りたい。

締め切りをやっつけたい

2025年になってしまった。今度はパリ五輪のテクニカルレポートの作成にOverwhelmされている。それが、年末年始にオフィスに籠っている理由だ。次の合宿が始まる2月はとても時間を割けないから、1月中になんとかやりきろうという計画だった。しかしすでに、1月中にコーチカンファレンスや、別の新しい講習会の依頼を軽く引き受けてしまい、このOverwhelmedな状況に拍車をかけている。(このくだらないブログを書いて、さらに拍車をかけている)

断ることのできない自分が嫌だけど、やれるかもしれないのに逃げる自分はもっと嫌なのだ。

有言よりも実行

昨年ショックだった出来事に、リスペクトしていたディケンべ・ムトンボの逝去がある。自分がNBAに出会ったころにたくさんプレイを見ていたし、アンバサダーとして母国コンゴだけでなく、全世界で活動していた。僕がいたころのアルバルクの試合にも来てくれたことがある。享年58歳。

あまりにも凡庸な気付きではあるけど改めて、人の人生は有限だ。僕の人生も有限だ。だから、(大袈裟だけど)今年はいつ死んでも良いように、生きている間にやり遂げたいことの1つにチャレンジする1年にしたい。こんなクソ忙しい今だからこそ、やってやろうという気持に珍しく火がついている。実は、僕が自分自身で作った目標に向かって動くというのは、結構珍しいことだったりする。

ただ、自分にプレッシャーをかけるのは嫌なので、それが何かはあまり人には言わないでおこうと思っている。締め切りというOverwhelmはある程度歓迎するけど、“期待される”というプレッシャーは、自分のパフォーマンスに影響が出てしまう気がするのだ。

大学生の時、夜勤のコンビニの先輩に教えてもらった言葉をシェアしたい。

「有言実行って言葉はカッコいいけど、大事なのは“実行”することであって、“実行”さえするのであれば、不言実行でもどっちでもカッコいいんだよ」

みなさまの1年が素晴らしいものになりますように。

コーチトミー
この記事を書いた人
冨山晋司

1981年生まれ。立教高校、立教大学卒業。東京新宿区の公立中学校で外部コーチ後、
【2009-10】東京アパッチ(bjリーグ)アシスタントコーチ
【2010-11】bjリーグアカデミーサポートコーチ
【2011-12】  岩手ビッグブルズ(bjリーグ)アシスタントコーチ(シーズン途中よりヘッドコーチ代行)
【2012-13】千葉ジェッツ(bjリーグ)ヘッドコーチ
【2013-14】熊本ヴォルターズ(NBL)アシスタントコーチ
【2014-2018】アルバルク東京アシスタントコーチ
【2018-19】大阪エヴェッサアソシエイトコーチ
【2019-2021】大阪エヴェッサアシスタントGM兼アナライジングディレクター
【2021- 現在】日本バスケットボール協会(JBA) 技術委員会 テクニカルハウス
男子日本代表テクニカルスタッフ (2023年アジア競技大会 男子日本代表アシスタントコーチ)

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